ジャパンケネルクラブ登録されている10のグループのうちの1つに「使役犬」があります。
今回は、使役犬の中の「セントバーナード」について紹介します。
セントバーナードは、世界的に有名な名作アニメ「アルプスの少女ハイジ」に出てくるヨーゼフというキャラクターでもおなじみです。
セントバーナードの歴史
セントバーナードは、スイス原産の大型犬の一種です。
もともとはローマ帝国が軍用犬として用いていました。
その後、スイス侵略の際にローマ帝国によって持ち込まれたと考えられています。
イタリアとスイスの国境付近にあったサン・ベルナール修道院は、
セントバーナードを語る上で欠かすことが出来ない場所です。
積雪20mを越え氷点下30℃にもなる冬が厳しいこの地域は、冬は馬を使うことが出来ません。
この地域で、馬に変わり活躍していたのがセントバーナードだったのです。
アルプスの山を越える人々の救護所となっていたこの修道院で
多くのセント・バーナードが荷車を引いたり、番犬として働いていました。
その後、探索犬としての能力に長けているということが認められると
雪中での遭難者の救助犬として使われるようになりました。
名前も、サン・ベルナール修道院からサン・ベルナールと命名されました。
日本では、英語読みして「Saint Bernard=セントバーナード」と呼ばれています。
セントバーナードは、長く救助犬として活躍し、これまでに2500人もの命を救って来たと伝えられています。
首にラム酒の小樽をぶら下げているセントバーナードの姿は有名ですよね。
これは、この頃から定番のスタイルであり、遭難者が気付きやすくするためにつけています。
19世紀中頃、イギリスの画家ランドシーアによって描かれた2頭のセントバーナードが
遭難者を救助する絵画でセントバーナードの知名度は一気に上がります。
また、名犬バリーの物語をご存知の方も多いのではないでしょうか。
この物語は、実在の話でバリーは生涯に実に40人もの人間を救助しました。
物語は今も各国で語り継がれており、バリーの剥製はドイツ、ベルンの博物館に展示されています。
セントバーナードの救助犬としての活躍から、東京消防庁の特別救助隊や消防救助機動部隊(ハイパーレスキュー)では
セント・バーナードが描かれたワッペンを付けています。
また、セントバーナードはアルプスの深く積もった雪の中で働くことが出来る体力や忍耐強さを求め、改良も重ねられてきた犬種です。
19世紀の中頃セントバーナードは、イギリスにわたりますが、その頃近親交配の影響で短命となってしまい、絶滅危機に陥りました。
かろうじて生き残っていたセントバーナードとニューファンドランドと交配させることにより
個体を増やすことに成功し、存続することが出来ました。
ニューファンドランドの血が入った結果、細身で短毛だった体つきは現在の大柄な体に変貌したのです。
セントバーナードの特徴
セントバーナードの体高はオスが70~90cm、メスは65~80cmで体高が体長より長いことが特徴です。
体重は50~91kgくらいで100kgを越えることもあり、筋肉量が豊富で、
全犬種の中でも一番重量があります。
耳はたれ耳で、太くて長い尻尾が特徴です。
毛色は、白色の地色に茶色の斑点模様か、茶色の地色に白色の斑点模様のタイプがいます。
また、セントバーナードは、ダブルコートと呼ばれる毛の生え方が特徴です。
ダブルコートとは、上下2重構造の毛の生え方のことで、
上毛をオーバーコート、下毛をアンダーコートといいます。
ダブルコートの犬種は、他にもダックスフンド、ポメラニアン、柴犬、ゴールデンレトリバーなどがいます。
それに対し、オーバーコート(上毛)のみしかない毛の生え方をシングルコートといいます。
オーバーコートは、しっかりとした剛毛で皮膚を保護する役割で、
アンダーコートは、柔らかい毛で保温の役割を持っています。
この毛の生え方の違いで、毛周期が変わります。
セントバーナードは、がっしりした骨格と筋肉を厚いダブルコートが覆っており、
・スムースタイプ
・ロングタイプ
の2種類がいます。
スムースタイプは、硬い短毛が密集して生えていて、
ロングタイプは、直毛か、ウェーブがかった毛質をしています。
セントバーナードの性格
セントバーナードは、とても温和で優しい性格です。
大きな体なのに、甘えん坊というギャップに魅力を感じて買い始める方も多いようです。
雪中の救助犬として活躍していたことから、判断能力に優れています。
また攻撃性がなく無駄吠えもありませんので、家の中でも問題なく飼うことが出来るでしょう。
忍耐強くのんびりしており、飼い主に従順なので、子どもがいる家庭でも安心して買うことが出来ます。
セントバーナードの飼い方
セントバーナードは大型犬の為、多くの運動量を必要とします。
1日2回、1時間程度が理想的なお散歩の時間です。
ジョギングなどを交ぜるといいでしょう。
また、セントバーナードの被毛は、
寒さには強い反面暑さにとても弱いという欠点があります。
そのため、夏場は温度調節が出来る室内での生活の方が望ましいといえます。