世界の様々な現場で、私たち人間の為に活躍している使役犬。
一言で使役犬といっても、その活動内容は様々です。
そんな頼もしく、心優しい使役犬についてまとめました。
使役犬とは
使役犬とは、私たち人間のために働いてくれる犬のことです。
とても難しい訓練を受けて色々な現場で活躍していますが、日本で活躍する使役犬を
目にする機会はまだ少ないのが現状です。
欧米に比べると少ないですが、世界には様々な場所で人間のために働く犬達がたくさんいるのです。
使役犬の仕事とは
使役犬の仕事とはどのようなものがあるのでしょうか。一部を紹介します!
警察犬
警察犬は日本でも見かけることができます。
主に、警察のアシスタントのような役割を仕事とするため、
パートナーである警察犬訓練士と共に常に行動しています。
警察犬の主な仕事は、人間にはない犬の優れた嗅覚を活かした仕事をしています。
跡追及犬
事件現場などで、犯人が残した手がかりとなる物の匂いから、
犯人の居場所や手がかかりを追跡する仕事です。
また、犯人を逮捕するためだけではなく、行方不明者の捜索にも活躍しています。
何人もの行方不明者を見つけた犬が表彰されたこともあります。
気選別犬
犯人の匂いを嗅ぎ取り追跡するという「足跡追及犬」とはまた違い、
現場に残された遺留品の匂いと、既に逮捕された容疑者が一致するかどうかを
見極める仕事をする警察犬です。この結果が重要な証拠となることもあり、その能力は
裁判でも認められるほどです。
警戒犬
主に、パトロール、監視、護送などの仕事をします。
存在そのものが威圧感のある警戒犬。
パトロールに同行することで、犯罪を未然に防ぐことにも繋がっています。
不審者を見つけると、吠えたり噛みついたりととても勇敢で頼もしい存在です。
この警戒犬になれる犬種は限られています。
そこにいるだけで怖いと思わせる必要があるからです。
そのため見た目が少し怖い、シェパードなどが多く選ばれています。
以上が警察犬の主な仕事です。
また警察犬に向いている犬種は、
ジャーマン・シェパードやラブラドール・レトリバー、ドーベルマンなどがあげられます。
麻薬探知犬
麻薬探知犬とは、麻薬の微かな匂いを嗅ぎ分け、見つけ出すように訓練されています。
近年、日本でも麻薬に関する事件は多く、大活躍しているのでニュースなどで
目にする機会もあると思います。
空港や港などにも配備され、麻薬の摘発にとても大きな成果をあげています。
旅客などの荷物から麻薬の匂いを少しでも嗅ぎ取れば、
その荷物に対して吠えることで税関職員に知らせています。
災害救助犬
災害救助犬は、「レスキュードッグ」とも呼ばれ、
災害が起こった時に人を助けるように訓練されています。
日本は災害も多いことから、災害救助犬は人命救助を行う上で、とても大切な役割を担っています。
主な仕事は以下になります。
地震救助犬
地震によって倒壊した建物から、被災者を探します。
山岳救助犬
山林で遭難した人や行方不明者を探します。
水難救助犬
海や川、湖で溺れている人や、遭難者を助けます。
活躍の現場は日本だけでなく、海外にも派遣されています。
盲導犬
使役犬の中で、日本で一番目にする機会があるのが盲導犬です。
盲導犬は目の不自由な方の外出や日常生活を補助・支援してくれます。
具体的な仕事は、「段差で立ち止まる」、「道路の端を歩く」、「障害物を回避する」などです。
そのため高度な訓練が必要になります。
また、視覚障害者と日々の生活を共にすることで、心の支えにもなっています。
盲導犬は、白色か黄色のハーネスを着用してお仕事をします。
ハーネスを着用している盲導犬を見たら仕事中なので、
「声をかける」、「なでる」、「口笛を吹く」、「餌やおやつを与える」
などの行為は犬の集中力を邪魔しますのでしないように気を付けてください。
盲導犬に向いている犬種は、ラブラドール・レトリバーやジャーマン・シェパードなどがいます。
聴導犬
聴覚障害の方の日常生活をサポートします。
ドアのチャイム、電話の呼び出し音、赤ちゃんの泣き声、目覚まし時計など
日々の生活の中で必要な音を覚え、知らせてくれます。
離れた場所で音が鳴っている場合も、飼い主さんの所まで行きそれを教え、音がしている所まで誘導してくれます。
また家の外では、病院や銀行などで順番を待っていても自分の名前を呼ばれているか分かりません。
そのため、受付の人に名前を呼ぶ代わりに携帯用の呼び鈴を渡し、鳴らしてもらいます。
聴導犬が呼び鈴に反応して、名前が呼ばれた事を知らせ、受付まで誘導してくれます。
介助犬
介助犬とは、手や足が不自由な方の日常生活をサポートするために訓練された犬のことです。
日本でも数多くの介助犬が活躍しています。
介助犬の主な仕事は、
「落とした物を拾う」、「ドアの開閉」、「指示された物を持ってくる」、
「スイッチのオンオフ」、「車椅子の移動補助」、「緊急時に人を呼びに行く」など
日常生活を手助けしてくれます。
外では、「介助犬」と書かれているハーネスを着用しているので、
一般の人にも見分けが付きます。
盲導犬と同じく、犬の集中力を邪魔しないように声をかけたり、触ったりしないようにしましょう。
牧羊犬(牧畜)
牧羊犬とは、牧場で放牧している家畜、羊や牛などの群れが、あちこちに散らばらないように
誘導や監視したり、外敵から家畜を守る仕事をしています。
元々は監視の役割が主で、人間による盗難やオオカミなどの捕食者から家畜を守るために、
強い大型犬種がその役割を果たしていました。
しかし時代と共に、外敵からの被害が減少した為、散らばる群れを誘導する際に、
機敏に動けるように中型犬や小型犬種が選ばれるようになりました。
現在では、大型犬種は羊の見張りや外敵を防ぐ「ガーディングドッグ」として、
中型犬や小型犬は、特徴を活かし散らばる群れを誘導する「ハーディングドッグ」として
使分けられています。
また、現在牧場で牧羊犬として活躍している犬種は、
ボーダー・コリー、シェットランド・シープドッグ、ジャーマン・シェパードなどがいます。
猟犬
猟犬とは、狩猟のサポートをする犬のことです。
猟犬は大きく2つのグループに分類され、性質や本能も違います。
スポーティンググループ
別名「ガンドッグ」とも呼ばれています。
主な仕事は、獲物の居場所を教えたり、猟師が銃で狙いやすい位置に獲物を追い詰めたり、
撃ち落とした獲物を持ち運んだりすることで猟師の手助けをします。
ハウンドグループ
主な仕事は、視覚を駆使して猛スピードで獲物を追い詰めたり、鋭い嗅覚を使って
獲物を追跡したりします。
キツネやウサギなどの小動物やイノシシ狩りの時に活躍します。
セラピードッグ
セラピードックとは、病院や老人ホームなどに訪問して入院している方たちの
ストレス緩和や心の支えとなるように高度な訓練を受けた犬のことです。
セラピードッグと触れ合うことで、
高齢者の認知症や自閉症、重度の病気やケガの後遺症を持つ人などのリラックス効果や治療効果を
高める役割を担っています。
日本での認知度はまだまだ低いですが、
全国の老人ホームや障害者施設、病院や児童施設、刑務所や被災地への訪問活動など
実に幅広く活動しています。
小型犬や大型犬、飼い犬や捨て犬、犬種の指定がないので、
どんな犬でもセラピードッグになることは可能ですが、幾つもの試験を合格する必要があります。
害獣駆除犬
私たち人間の生活の危害となる野生動物を駆除する犬のことです。
日本では、猿を駆除する「モンキードッグ」や熊を駆除する「ベアードッグ」が
群馬や長野で活躍しています。
どんな犬が使役犬にむいてる?
私たち人間のサポートをしてくれる犬の多くは大型犬になります。
それは、どんな過酷な現場や状況にも耐えられる力強さと体の丈夫さが必要になり、
さらには賢く、従順であることが条件になります。
その条件を兼ね備えているのが、ラブラドール・レトリバーやジャーマン・シェパードなどの
大型犬が使役犬として選ばれる理由です。
盲導犬やセラピードッグの多くは、ラブラドール・レトリバーですが、
人間のサポートをするのが、必ずしも純血種の犬とは限りません。
殺処分から救われた保護犬が使役犬として活躍することもあります。
今回は、使役犬の仕事についてや向いている犬種などを紹介しました。
使役犬にはたくさんの種類がいます。
種類についてはこれから別の記事で紹介していきます!