卵は栄養価が非常に高い食材で、様々な栄養成分が含まれています。
その中で一番多く含まれるのは、良質なタンパク質です。
また、タンパク質を構成するアミノ酸の中でも、必須アミノ酸のバランスがよいのも特徴です。
タンパク質は20種類のアミノ酸で構成されています。
20種類のアミノ酸は「必須アミノ酸」と「非必須アミノ酸」に分けられます。
「非必須アミノ酸」は体内で合成ができるアミノ酸です。
「必須アミノ酸」は
体の健康を維持するために特に必要なアミノ酸で、
体内では合成できないため、必ず食べ物から補給しなければならないアミノ酸です。
体にとって必須アミノ酸のバランスが完璧な卵は、
アミノ酸スコア100の優れた食材なのです。犬の体にとっても栄養満点の食べ物と言えます。
卵にはタンパク質の他にも多くの栄養素が含まれ、体の免疫力を上げる効果が期待できます。
卵は人にとっても、犬にとっても栄養バランスのよい、
積極的に取り入れたい完全栄養食品なのです。卵に含まれる栄養成分やその働きと、
犬に卵を与える時の注意点やアレルギーのことも交えて、詳しくご紹介していきます。
栄養満点!ゆで卵の栄養成分について
完全栄養食品である卵には、様々な栄養成分が含まれています。
<タンパク質>
犬の体を作るのに必要不可欠な栄養成分です。体内に入ったタンパク質は、アミノ酸に分解され、
筋肉・内臓・骨・皮膚・血液・被毛などの成長のエネルギー源となります。
また、体内で免疫物質や酵素を作り、栄養素の運搬も行います。
ゆで卵1個には約7gのタンパク質が含まれています。
<脂質>
脂質はエネルギーのもととなる栄養成分です。
エネルギー源としてはタンパク質よりも効率がよく、体温を一定に保つ働きをします。
血液中の脂質が減少すると、皮膚が乾燥したり、被毛のツヤがなくなるなどの症状が出てきます。
ゆで卵1個には約6gの脂質が含まれています。
<ビオチン>
ビオチンはビタミンB群の一種で、犬の皮膚や粘膜、爪や被毛の健康に大きく関係します。
また、神経を正常に保つ働きもします。皮膚炎を予防する働きや、
アレルギー性の皮膚炎の改善にも効果があります。
<ビタミンB2>
水溶性のビタミンで、ビオチンと同様に、
皮膚や粘膜、爪や被毛を健康にする働きと、発育促進にも重要な役割をします。
<セレン>
ミネラルの一種のセレンは、細胞の酸化を防ぎ、老化を遅らせる働きがあります。
強い抗酸化作用があり、ガンの抑制にも効果が期待できます。
ミネラルはセレンの他にも、カルシウム・マグネシウム・リン・鉄・亜鉛などが含まれています。
1日に与えてよいゆで卵の量と犬ごはんのレシピ
栄養成分の含有量から考えて、1日に犬に与えてよいとされる、
ゆで卵の量はこちらです。
体重1kg→7g
体重3kg→15g
体重5kg→25g
体重10kg→41g
ゆで卵の1個の重さは約50gです。例えば、体重5kgの犬の場合、
1日に与えてよい量はゆで卵の半分ということになります。
これは、主食のドッグフードにプラスしても大丈夫な量ですが、毎回ということではありません。
時々、主食にプラスして与える時の目安と考えて下さい。
愛犬に作ってあげたい、卵を使った簡単レシピを2点ご紹介します。
【ゆで卵とフルーツのサラダ】
・材料 (小型犬1日分)
ゆで卵 1/4個
みかん 3房
りんご 少々
・作り方
①卵を黄身まで完全に火が通るように固茹でにし、
1/4個分をみじん切りにしておきます。
②みかんは薄皮をきれいに取り除き、小さめに割っておきます。
りんごは皮をむき、みじん切りにします。
③みじん切りにしたゆで卵・みかん・りんごを和えたら完成です。
【ふんわりスクランブルエッグのレシピ】
・材料 (小型犬1日分)
溶き卵 1/4個分
ヤギミルク 10cc
・作り方
①溶き卵は完全に白身と黄身が混ざった状態まで混ぜます。
②溶き卵にヤギミルクを入れ混ぜます。
③フッ素加工のフライパンに油を引かずに、
溶き卵を流し入れ、完全に火が通るまで炒めます。
ふわふわスクランブルエッグの完成です。
どちらも、ドッグフードの上にのせてあげて下さいね。
※ゆで卵の殻は捨てずに細かく砕いておきましょう。
ドッグフードのトッピングとしても使えるのでおすすめです。
カルシウムが豊富なので、少量を時々ふりかけてあげて下さい。
犬に卵を与える時の注意点は?
卵は栄養価の高い食材ですが、
犬に与える時に注意しなければならないこともあります。
<犬に生の卵白を与えてはいけません>
生の卵白に含まれるタンパク質の中に、
「アビジン」という物質が含まれています。このアビジンは、
卵に多く含まれているビオチンと結合する性質を持ち、
皮膚や粘膜を、健康に保つ働きをするビオチンの吸収を妨げてしまいます。
この状態が続くとビオチン欠乏症に陥り、
皮膚や粘膜に異常が出たり、皮膚炎が悪化してしまうことがあります。
少量を食べてしまったくらいでは問題はありませんが、
長期的に与えるのは危険だということを、飼い主さんは知っておかなければいけません。
<卵のアレルギーに注意>
卵アレルギーは人にも多いアレルギーの1つです。犬も人と同じで卵を食べることで、
アレルギーを発症する可能性があります。卵アレルギーのある場合は、
生でも、ゆで卵にしてもアレルギーが起こることに変わりはありません。
卵アレルギーの主な症状に皮膚のかゆみがあります。
犬が卵を食べた後、体を掻くような仕草が増えたり、
下痢や嘔吐などの症状が現れたら、卵アレルギーのおそれがあります。
また、アレルギー症状は数日経ってから現われることもあるため、
1日~2日は愛犬の様子に変化がないか、
飼い主さんは注意してみておく必要があります。子犬や老犬は成犬に比べて、
アレルギー症状が強く出ることがあるので特に注意が必要です。
もし疑わしい症状が出た場合は、必ず動物病院で診てもらうようにしましょう。
また、どの食材にもいえることですが、
初めて犬に与える時は、1度に大量に与えてはいけません。
様子をみながら少しずつ与えるようにして下さい。
<サルモネラ菌は大丈夫?>
ごくまれに、生の卵やその殻が、サルモネラ菌に汚染されていることがあります。
主な中毒症状は、激しい下痢や嘔吐などです。
加熱することで菌は死滅するので、必ず、ゆで卵にするか、焼くなどの加熱調理をして下さい。
※生の黄身を犬に与えても問題はありませんが、
サルモネラ菌に汚染されている可能性がゼロではないことと、
生はお腹をこわす可能性もあるため、与えない方がよいでしょう。
卵は注意しなければならないことに気を付ければ、
栄養面からみても、犬の健康によい効果が期待できる食材です。
愛犬の栄養補給に、ゆで卵を活用してみてはいかがでしょうか。参考にして下さい。