長寿国の日本で、昔から長生きの秘訣として食されている納豆。大好きで毎日食べている人もいれば、
苦手だけれども、体によい栄養がたくさん含まれている事は、
何となく知っているという人も多いのではないでしょうか?
納豆が苦手な理由としてよく挙げられるのは、発酵食品ならではの独特な粘り気と臭いですが
実は多くの犬はその粘り気と臭いを好みます。
納豆は犬に対しても人と同様に栄養効果があり、いくつかの注意点にさえ気をつければ、
犬に与えることができる食材です。多くの健康効果が期待される食材ですが、
特に肝臓病を患っている犬に対しては、「肝臓再生食」ともいわれる納豆は、積極的に与えたいものです。
今回は、納豆が犬にもたらしてくれる栄養効果と、与える上での注意点、
そして犬の肝臓病に効く成分を見ていきましょう。
犬に効果をもたらす納豆効果とは?
犬が納豆を食べることで、どのような健康効果が期待できるのでしょうか?
さっそくその成分と効能を見てみましょう。
痴呆症の予防に役立つレシチン
犬も歳をとると、徘徊したり単調に鳴き続けたりするなど、痴呆症の症状が出てくることがあります。
人の脳が老化することを予防できると言われている納豆ですが、その効果は犬にも有効で、
納豆を日々の食事に取り入れることで、犬の痴呆症も予防することができます。
大豆を加工して作られる納豆には、大豆レシチンという成分が大量に含まれています。
大豆レシチンは体内で吸収されたのちに、脳への情報伝達物質へと変化します。
この伝達物質は、老化やストレスにより減ってしまいますが、納豆を摂取することで維持することができます。
ちなみに、同じく大豆加工品である豆腐には、大豆レシチンはほとんど含まれておらず、
また大豆のまま与えるよりも、納豆の方がレシチンを効率よく体内に吸収することができます。
血液をサラサラにしてくれるナットウキナーゼ
納豆を生産する過程で産生されるナットウキナーゼは、納豆菌ともいわれる納豆のネバネバ成分に
含まれる酵素のことで、血栓を溶かし血液をサラサラにする効果があります。
酵素の効果が生きた状態で腸まで届き、人間では脳卒中や心筋症への効果が実証されていて、
犬にも同じ効果が期待できます。
免疫力をアップしてくれるオリゴ糖と食物繊維
さまざまな病気を引き起こす原因として考えられているのが、免疫力の低下によるものです。
納豆を摂取することで、免疫力が向上して、病気の入り込む隙間を無くすことが期待できます。
納豆には腸内の善玉菌のエサとなるオリゴ糖と、食物繊維が豊富に含まれています。
納豆を犬に与えることで腸内の善玉菌が増えて、その結果、腸内環境が整うことで免疫力のアップに繋がります。
肝臓病の犬にぜひ与えたい納豆の効能は?
肝臓は短期間の間に再生する臓器なので、肝臓が再生するときに必要であるタンパク質やビタミン
ミネラルを食事で摂取することで、肝臓の再生を促して肝機能の働きを高めることができます。
まず納豆の原料である大豆は、良質な植物性タンパク質の宝庫です。肝臓内で働く酵素の多くは
タンパク質からできていて、納豆を摂取することで、肝臓内の酵素を増やして肝機能を保つことができます。
また納豆に含まれるビタミンB2が、肝臓に脂肪が蓄積されるのを防ぎ、
ビタミンEは肝臓が活性酸素により攻撃されることを防いでくれます。
それから肝臓の酵素の働きを活発にするのが、納豆に豊富に含まれる亜鉛やマグネシウムなどのミネラルです。
肝臓の新陳代謝を促し、肝機能を高めてくれます。
このように、納豆は肝臓をサポートしてくれる優秀な食材なので、肝臓に不安がある犬には、
積極的に与えてもよい食材といえるでしょう。
ただ、処方薬とのバランスもあるので、肝臓病対策の療法食として定期的にまたは継続して納豆を与えたい場合は
あらかじめかかりつけの動物病院で、トッピングや手作り食の内容や分量を相談してください。
犬に納豆を与える上での注意点は?
納豆は大豆から加工されているため、大豆アレルギーの犬に納豆を与えてはいけません。
また、食物繊維の多い食材なので、一度に多くの量を犬に与えると、消化不良により嘔吐したり
下痢を起こしたりすることがあります。1日に与える量は、小型犬で小さじ1杯程度にしましょう。
また。肝臓病の犬に対して納豆を与えることは効果的ですが、腎臓病で腎機能が低下してカリウムの
排出がしづらくなっている犬に対しては、カリウムを多く含む納豆を与えると、
カリウム高血症を起こしかねません。カリウムの摂取制限を行っている犬には納豆は与えないようにしましょう。
それから納豆はネバネバしているため、ほとんどの犬が噛まずにそのまま飲み込んでしまいます。
そうなると、せっかくの栄養成分が体に吸収されることなく排出されてしまう、
いわゆる素通り状態となってしまいます。犬の体に納豆パワーを有効に吸収してもらうためにも、
納豆を細かく刻んで与えるか、ひきわり納豆を与えるとよいでしょう。
また納豆のネバネバや臭いが、犬の口についてしまうのがどうしても嫌だという飼い主さんは、
冬場の晴れた日に納豆を2~3日天日干しすることで、粘りや臭いを軽減することができます。
また、与えやすく加工された犬用納豆や納豆菌サプリを利用するとよいでしょう。
納豆パワーを愛犬の健康維持にも利用しよう!
納豆には脳の老化を予防してくれたり、血液をサラサラにしてくれたり、
免疫力を高めてくれるなど、犬の健康を維持してくれる豊富な栄養素が含まれています。
また、肝臓の機能が低下している犬にも効果的であることがおわかり頂けたかと思います。
普段の愛犬のおやつや食事のトッピングなどに、納豆を上手に取り入れて、
納豆のもたらしてくれる栄養パワーを有効に活用しましょう。