甘くて濃厚なメロンは「果物の王様」として親しまれてきました。
高級感があるため旬の時期になると贈り物としても人気があります。
食後のデザートとしてメロンが出ると、少し贅沢な気分になりますね!
犬は、私たちより味覚が鈍いと言われていますが、甘いものにはわりと敏感です。
メロンを喜んで食べる犬も多いのではないでしょうか。
メロンには、犬にも良い成分が含まれ、飼い主さんと一緒に食べることができます。
しかし、メロンを与える飼い主さんに知っておいてほしい注意点があります。
万が一メロンを与えた後に、愛犬に瓜アレルギーが出たり、皮を食べて嘔吐したりしても慌てないように、
メロンによって起こり得る有害な症状について知っておきましょう。
今回は、メロンの良い成分や注意点、メロンの安全な与え方についても紹介します。
メロンの成分は犬に必要?注意点も知っておこう
メロンの主な成分は水分、糖質、ビタミン、カリウム、食物繊維です。
メロンに含まれる成分の優れた効能と共に、犬にとって注意したい効能も紹介していきます!
1.ククミシン
メロンの果肉に含まれるたんぱく分解酵素です。
肉類と一緒に与えると、肉の吸収や消化を助ける働きがあります。
また、メロンに含まれている葉酸も、ククミシンの働きを助けてくれます。
熱に強い性質を持ちますが、90度以上で働きが失われてしまうため、メロンは生がおすすめです。
まれに、ククミシンの刺激に負けてアレルギーを発症してしまうことがあります。
・喉のイガイガ
・舌がピリピリ
これらの症状が出て、犬に落ち着かない様子がみられたら獣医さんに相談しましょう。
2.糖質
メロンは糖質を多く含み高カロリーです。
犬の肥満や糖尿病が心配になると思いますが、メロンの主な糖質は果糖です。
果糖は比較的血糖値が上がりにくいという特徴があります。
また、メロンに含まれる豊富な食物繊維が糖質の吸収をゆるやかにしてくれます。
摂り過ぎには注意が必要ですが、少量なら心配いりません。
3.水分
メロンの90%以上は、水分です。水分が多く含まれていると、
体の熱を冷ましてくれます。水分補給にもなりますね。
4.ビタミンC
・免疫力向上で風邪予防
・メロンに含まれる葉酸と共に代謝を改善
・葉酸と同じく抗酸化作用により老化防止、慢性疾患防止
・メロンに含まれるクエン酸と共に疲労回復
・コラーゲンを合成して皮膚や被毛を健やかに
・コラーゲン合成で関節疾患の予防
などなど、ビタミンCには良い効能がたくさんあります。
もともと犬はある程度体内で合成できるため、食事から摂取する必要はありませんが、
老犬や病弱な犬は十分に合成出来ないこともあります。
また、葉酸と同じ水溶性ですので、摂り過ぎても排泄され、体内に蓄積されません。
5.カリウム
カリウムは利尿作用により体内の余分な水分や塩分を排出し、血圧を下げてくれます。
代謝や神経活動など生体機能を支える働きもありますが、
腎臓や肝臓が心配な犬には注意が必要!
腎臓や肝臓が弱っていると、過剰なカリウムが排泄出来ず体内に貯留し、
心臓に負担となってしまうため不整脈や低血圧を引き起こします。
6.ペクチン
ペクチンは食物繊維の一種です。比較的犬にも優しい食物繊維と言われています。
腸内環境を整えてくれて便秘予防になりますが、
メロンは水分も多く含むため、摂りすぎると下痢になってしまいます。
7.βカロテン
メロンの赤肉種に多く含まれる成分です。体内でビタミンAに変換されます。
ビタミンCと同じく抗酸化作用や、皮膚や粘膜を健やかにしてくれるほか、目にも良い成分です。
しかし、犬はビタミン変換能力が高く中毒になりやすいため肝臓の負担になります。
少量なら大丈夫ですが、βカロテンを多く含む赤肉種のメロンは出来れば避けましょう!
犬がメロンを食べて嘔吐する原因は?瓜アレルギーについても紹介
犬がメロンを食べた後、突然嘔吐したら何が原因なのでしょうか?
メロンの果肉には、犬に比較的優しい食物繊維が含まれていましたが、
メロンの外皮、種、ワタには硬質な食物繊維が含まれ、胃を傷つけてしまいます。
また、消化にも悪いため、犬が消化不良を起こしてしまう恐れもあります。
消化不良を起こすと嘔吐や下痢などの症状が出て、
犬が苦しい思いをすることになります。メロンの皮に付着している農薬も心配です。
メロンの甘い香りが残る外皮や種を犬が食べてしまわないよう注意しましょう!
もし、犬が誤ってメロンの外皮などを食べてしまい
消化不良の症状が続くようなら、動物病院へ連れて行きましょう。
熟しすぎたメロンにも注意が必要です。
熟しすぎたメロンは、皮やヘタの近く、品種によっては果肉にも
「ククルビタシン」というステロイドの一種が発生します。
ククルビタシンは強烈な苦み成分で、多量に摂取すると嘔吐や下痢などの
食中毒を引き起こす恐れがあります。熟しすぎたメロンは、
犬には刺激の強いアルコール成分や炭酸も発生させるので、絶対与えないでください。
時々、メロンが原因となるアレルギーを発症する犬もいます。
メロンによるアレルギーは、瓜アレルギーと言い、発症すると下記の症状が出ます。
・全身の発疹、かゆみ
・目の腫れ、充血、かゆみ
・口のまわりの赤み
・下痢
・呼吸困難
メロンは瓜科の野菜ですので、同じ瓜科に属するキュウリ、スイカ、バナナなどを
食べた後にアレルギーを発症した犬には与えないでください。
また、ブタクサ、ヨモギ、スギ、シラカバなどにアトピーを持つ犬も控えましょう!
メロンは、たんぱく質の構造分子がブタクサなどに似ているため、犬の抗体が識別出来ずに
反応してしまい、アレルギーを引き起こしてしまう可能性があります。
次は、メロンを安全に与える方法についてまとめます!
メロンの安全な与え方
赤肉種は出来れば避け、熟しすぎていない青肉種や白肉種のメロンを選びましょう。
腎臓や肝臓が心配な犬には、低カリウムメロンを選びます。心配であれば避けた方が無難です。
犬の胃腸が冷えて下痢にならないようメロンは常温にしておき、外皮や種、ワタは取り除きます。
メロンは食べやすいよう細かくカットし、量は1、2切れ程度にしてください。
小さな犬では、誤嚥してしまうかも知れません。
メロンを加熱せずに肉類に混ぜてあげると消化に良いですよ。
初めてメロンを与える時は、注意して観察してあげてくださいね。
犬は雑食性ですが、動物性たんぱく質が主食となります。
私たちには必要なものでも、犬に野菜や果物を与える時には注意が必要です。
ペットとして暮らす犬は運動量が少ないので、カロリーコントロールも必要です。
犬にとってメロンは積極的に摂取するものではありませんが、
時々上手に与えてあげると消化を助けてくれたり、
水分補給になったり、疲労回復、便秘改善などの良い効能もあります。
ときどき出るメロンの濃厚な甘味や芳醇な香りに、犬も贅沢な気分になるかも知れませんね。