犬の祖先であるオオカミは夜行性ですが、
犬もオオカミと同じく、夜行性だと思っている方が多いようです。
しかし、犬を飼われている多くのご家庭で、
夜、愛犬と一緒に寝ているという飼い主さんは多いはず。
お布団の中でスヤスヤと眠る愛犬を見ると、夜行性とは思えませんね。
本当に犬は夜行性なのでしょうか。
実は、犬の睡眠時間や睡眠の特徴にそう思われる要因があるようです。
今回は犬の睡眠について詳しくご紹介していきます。
犬の生活パターンが夜行性から昼行性へ変わった理由について
犬は、祖先のオオカミと違い夜行性ではありません。
昼行性といわれる動物です。夜行性のオオカミは昼間は眠り、
夜になると狩りに出るという生活をしていました。
夜に活発に行動することで、獲物を狙いやすく効率のよい狩りができるからです。
犬も、野生の時代は夜行性で、夜に食べ物を探すという生活をしていましたが、
人と暮らすことで、自分で食べ物を調達する必要がなくなっていきました。
そして人と生活を共にすることで、外敵に警戒する必要もなくなり、
犬も夜に安心して眠れるようになったと思われます。
犬が夜行性と思われる理由は?
人は夜にしっかり睡眠をとり、朝に起きるという生活をしています。
犬の睡眠の特徴は、短い睡眠を重ねて1日に必要な睡眠をとるということです。
では犬の睡眠時間はどれくらいかご存知ですか?
人の睡眠時間が8時間前後なのに対し、
犬の睡眠時間は、成犬で15時間くらいだと言われています。
子犬や老犬はそれ以上に眠ります。1日の半分以上はウトウトとしているのです。
犬が長い時間、そしていつでもすぐに眠れることは、野生の名残りで、
少しずつの睡眠を重ねることで体力を温存し、
狩りの時にエネルギーを使えるようにしているのです。
飼い主さんが忙しくて構ってあげることができない時や、
1日お留守番の時も、ほとんど眠っています。
このような昼によく眠る姿を見ることで、犬は夜行性だと思う人が多いようです。
犬が昼間もウトウト眠っているのは、1日の睡眠時間が長いということと、
夜行性であった頃の、昼間に眠るという習性が今も残っているのだと思われます。
また、犬が夜行性と思われるのには、その目の機能が関係しています。
犬の目には「タペタム」といわれる反射層があります。
これは人には備わっていないもので、これにより、犬は光の少ない暗闇でもよく見えるようです。
このタペタムが、月などのわずかな光を反射させることで、
犬は暗闇でも安全に行動できるのです。
暗闇で犬や猫の目が光るのは、このタペタムが光に反射して輝いて見えるのです。
暗い場所で犬の写真を撮る時は、フラッシュは控えるようにして下さい。
犬にはまぶし過ぎて、目の大きな負担になります。
人とは違う犬の睡眠パターンについて
犬があまり熟睡しないのは、野生の名残りがあり、物音に非常に敏感で、
ちょっとした物音にも反応する生態があるからです。
犬は狩りをして生きてきた動物ですが、自らも外敵に襲われる可能性があることから、
睡眠時間の多くは浅い眠りなのです。
犬の睡眠のパターンについてご紹介します。
睡眠には2つの種類があり、レム睡眠とノンレム睡眠があります。
・レム睡眠とは浅い眠りで、
体は眠っている状態ですが、脳は起きている状態のことです。
・ノンレム睡眠とは深い眠りのことで、
体も脳も眠っている状態のことです。
人の睡眠のパターンは、
睡眠時間の80%がノンレム睡眠(深い睡眠)で、
残りの20%がレム睡眠(浅い睡眠)だと言われています。
犬の場合はその反対で、80%がレム睡眠(浅い睡眠)なのです。
そのことからも犬がちょっとした物音にも反応して、目覚めるというのがわかると思います。
犬の睡眠で気を付けておきたいことは?
犬はよく眠る動物だということはお伝えしましたが、
注意が必要なこともあります。
ごはんや散歩の時間になっても眠っていることが多かったり、
すぐに横になろうとしたりする時です。そういう行動がみられる時、
飼い主さんは注意をして愛犬の様子をしっかり見ておく必要があります。
病気が隠れている可能性もあるからです。その症状には次のようなものがあります。
<甲状腺機能低下症>
甲状腺から分泌される、甲状腺ホルモンの分泌量が減ることで起こる病気です。
いつも遊んでいたおもちゃなどに反応せず、犬の元気がなくなるのが特徴です。
甲状腺低下症の症状は次のようなものです。
・よく眠る
・元気がなくなる
・被毛にツヤがない
・体温の低下
・皮膚疾患
・何となく悲しげな表情をする
・体重の増減
などです。全身の器官の機能が低下し、
下痢や嘔吐、ふらつきなどの症状が現れることもあります。
<ケガをしていたり関節などの痛み>
何かの原因で関節などを傷めてしまったり、ケガで痛みがある時、
特に症状が重い傾向にあるようなケガの場合は、
眠って治すという行動がみられます。
自己回復方法といい、この行動は犬が病気になった時も同じで、犬がよく行う行動の1つです。
<感染症・内臓系の痛み>
何かの感染症にかかっていたり、お腹などが痛い時にも犬はよく眠ります。
拾い食いをしてしまい、中毒を引き起こしている可能性があります。
食べてはいけないものを誤飲しているおそれもあります。
最近の行動をよく思い返して、何か原因となることがなかったかを確認して下さい。
<精神的なストレス>
病気やケガが見受けられないのに、いつも以上に眠っている時は、
精神的なストレスを感じていることがあります。
<老化のサイン>
体力が衰えてくると、犬はかなり長い時間眠ることが多くなります。
成犬の睡眠時間の15時間より長くなるので、
1日のほとんどを眠っているようなこともあります。
反対に睡眠時間が短い時も注意が必要です。
1日中、のんびり寝ているように見える犬ですが、
実は警戒心が強く、家の中にいても常に物音や変化を敏感に察します。
普段はそのような環境の中にいても、必要な睡眠時間は自分で確保しますが、
もし、愛犬の睡眠時間が平均睡眠時間より大幅に短いような時は、
生活環境を見直す必要があります。犬が安心できる生活空間を作ってあげるれように、
飼い主さんの工夫が必要になります。
夜に活発に行動していた犬が、今は人と生活することで、夜も長い時間眠れるようになりましたが、
昔の名残りからお昼もよく眠ります。しかし、あくまで活動時間は夜ではなく昼間です。
昼間は飼い主さんの時間の許す限り、たくさん遊んであげて下さいね。
犬の睡眠パターンと夜行性についてご紹介しました。参考にして下さい。