犬に噛まれてしまったら、どうすればよいのでしょう。
犬の性格は犬種によって、おとなしい、攻撃的であるなどの傾向はありますが、
それぞれの育った環境によっても大きく変わります。
「うちの愛犬はおとなしいから大丈夫」、「きちんとしつけているから」など、
多くの飼い主さんはそう思われることでしょう。
しかし、どんな犬にも噛む本能があります。
飼い主さんと遊んでいる時に、興奮して噛み付いてしまったり、
相手を威嚇するため、危険を感じた時など、犬には様々な理由があるのです。
愛犬に噛まれるというのは、飼い主さんにとってはかなりショックな出来事です。
しかし、もし自分が噛まれたり、人を噛んでしまったら。
その時のために、必ず知っておかなければならないことがあります。
その対処方法などをご紹介します。
もし犬に噛まれてしまったらどうすればいいの?
犬の歯を見たことがありますか?もともと肉食の犬は、
肉を噛みちぎれるようにキバのような鋭い歯を持っています。
鋭い歯は簡単に人の皮膚に大きなダメージを与えてしまいます。
また、歯磨きなどで犬の口の中をどんなに清潔にしていたとしても、
歯には多くの細菌が存在しています。噛まれてそのまま放置していると、
あとから病気を発症してしまう可能性があります。
小さな傷であっても、自己判断せずに病院で診てもらうことをおすすめします。
〈噛まれた時の応急処置の方法〉
・傷口を水道水で洗い流す
噛まれた時に、菌が付着しているおそれがあるので、
傷口付近を十分に洗い流しましょう。そのまま放置してしまうと傷口で菌が増え、
体内に侵入してしまう可能性があります。その後に洗った傷口を消毒薬で消毒しておくとよいでしょう。
・出血が多い場合は止血します
傷が深く血管を傷つけてしまった場合は、なかなか血が止まらないことがあります。
ガーゼや清潔なタオルで少し強めに押さえて圧迫しましょう。
噛まれた場所が手の場合は、
腕を心臓より高くした状態で、しばらく圧迫すると止血しやすいです。
・早めに病院で診てもらいましょう
小さな傷であっても、感染症のおそれもあるため、病院で診てもらいましょう。
医師の判断により、細菌感染を防ぐために、抗生物質の処方をされることが多いようです。
犬に噛まれた時の危険な感染症について
〈破傷風〉
飼い犬にはワクチンの接種が義務付けられています。
破傷風もその1つです。感染する可能性は非常に少ないですが、
ワクチンの効果は完全なものではありません。
破傷風の初期症状は口が開きにくくなる、というのが特徴です。
重症化すると歩行障害・排尿障害・筋肉の硬直・呼吸困難
などの症状が現れます。しかし、早めに受診すれば、発症を抑える治療が可能です。
〈狂犬病〉
狂犬病のウィルスを持つ犬に噛まれることで感染します。
発症した場合、致死率はほぼ100%の非常に怖い感染症です。
主な症状は、発熱・食欲不振・頭痛・嘔吐などがあり、
重症化すると水への恐怖感・錯乱・幻覚などの症状が現れます。
しかし日本では、
飼い犬には狂犬病の予防接種が義務付けられています。
日本で犬に噛まれても、狂犬病に感染する可能性は非常にまれです。
日本で狂犬病の報告がされたのは、1965年が最後なのだそうです。
気を付けなければいけないのは、海外で犬に噛まれることです。
他の国では、狂犬病を発症して亡くなる方がおられます。
旅行や仕事などで海外に行かれる時は、
むやみに犬に近づかないように注意して下さい。
〈パスツレラ症〉
犬に噛まれることで感染します。パスツレラ菌に感染すると、
患部がズキズキと痛み、腫れたり化膿することが多いです。
また気管支炎などを引き起こす可能性があります。
驚くことに、75%の犬の口の中に、このパスツレラ菌が存在しているのです。
潜伏期間は非常に短く、噛まれた直後から2日くらいです。
ペニシリン系および、フェム系の抗生物質が有効なので、
早めに受診することで症状を軽く抑えることができます。
ちなみに猫のパスツレラ菌の保有率は100%だそうです。
爪にもこの菌を保有しているため、
引っかかれても感染するおそれがあります。猫にも十分気を付けましょう。
噛む理由を理解し、噛ませない工夫も必要
犬は家族という群れの中で、リーダーを決める習性があります。
飼い主さんが群れのリーダーであれば言うことを聞きます。
しかし、従順な犬であっても、恐怖や威嚇で噛み付くことはあります。
嫌なことをされる恐怖から、その行動をやめさせるために威嚇します。
威嚇が通用しないと思ったら噛み付いてしまうのです。
多くの場合、犬は噛み付く前に威嚇し、「これ以上やめて!」と伝えています。
怖がりの犬によくみられる行動です。
犬が怖いと感じるような行動はできるだけ避け、
威嚇をさせないようにする工夫も必要です。
もし噛まれた時は「痛い!」と短い言葉で伝えましょう。
大きな声で叱ったり、叩いたりしてはいけません。逆効果になります。
犬は無視されるのが一番辛いようです。
少しの間、知らんぷりをするのが効果的かもしれません。
何度か繰り返していくうちに、犬もしっかり学習していきます。
噛み癖をつけさせないために、愛犬に人を噛ませないための努力が、
飼い主さんにも必要だということを覚えておきましょう。
もう1つ気を付けたいことは、愛犬をむやみに他人に近づけないことです。
犬も人と同じで知らない人には警戒もしますし、
不安を抱くものです。気を付けてあげましょう。
犬に噛まれた時の処置方法や、感染症についてご紹介しました。
いざという時に困らないよう、しっかり知っておきたいことですね。参考にして下さい。