様々な効能を持ち、体の調子を整えてくれるお灸。
お灸は2000年以上も前から、今とほとんど変わらない方法で行われ、私たちに良い効果をもたらしてきました。
最近では、犬にもお灸を行う動物病院が増えてきています。私たちと同じように犬たちも高齢化したため、
さまざまな病気と闘う機会が増え、筋肉や関節の衰え、認知症など加齢に伴うリスクが心配となってきました。
高齢になっても、愛犬には元気で安楽な毎日を過ごしてほしいですね。
東洋医学であるお灸には、病気を諦めるという選択肢はありません。もし犬が
神経が高ぶって落ち着きのない時、
呼吸器や消化器など内臓が弱った時、
椎間板ヘルニアを患い痛くて立てない時、
不治の病で苦しんでいる時、
お灸の効能をぜひ愛犬にも与えてあげましょう。
では、お灸はどのようなもので、どんな効能があるのでしょうか。
[お灸について]
お灸とは、モグサを皮膚の上に置いて燃焼させ、ツボへ温熱刺激を与えて
犬が本来持っている自然治癒力を高める技術のことです。
お灸を使うことで、血液やリンパの流れが改善され以下の効能が期待出来ます。
[期待されるお灸の効能]
①免疫力が高まり、病気の予防、症状の改善、病気の進行抑制になる
②筋肉のコリや疲れを改善する
③炎症を和らげてくれる
③下痢や便秘など胃腸の働きを改善する
④身体の冷えを改善する
⑤リンパの流れを良くして、浮腫み改善、体内に貯まった老廃物の排泄を高める
⑥自律神経のバランスを整え、自律神経の乱れに付随するさまざまな不快な症状を解消!
また、モグサは乾燥したヨモギの葉の裏に生えている毛からつくられたものです。
シオネールという精油成分を含むモグサには、消毒・殺菌・鎮静効果があるため、
⑦痛みを和らげ、睡眠を促すなどのリラックス効果
が期待出来ます。
しかし、お灸を犬に行うには、毛を剃らなければならず、
温度調整が難しく犬が熱くて動いてしまったり、
水ぶくれが出来たり、灰がこぼれたりと大変ですね。
そんな飼い主さんには、棒灸や太陽がおすすめ!棒灸や太陽は、毛を剃らずに行え
温度の調整がしやすく灰がこぼれにくいという特徴があります。
ペット用の棒灸もありますが、人用のお灸でも十分代用出来ます。
それぞれの特徴をみてみましょう。
犬のお灸の種類と使い方!棒灸や太陽とは
[棒灸]
棒灸とは、モグサを固めて棒状にしたものです。線香の束のようにみえます。
棒灸のセットには、棒灸、専用ホルダー、火消しなどが入っています。
犬と棒灸の間に挟む布やうすいタオルを用意してください。
①棒灸を専用のホルダーに差し込む
②棒灸に火をつける
③飼い主さんの皮膚に当て暖かさを感じながら、棒灸の深さを調整
④布を犬の上に置く
⑤布の上から専用ホルダーを当てる
小型犬なら1~2分程度、大型犬なら5分程度を目安に10分以内にしておきましょう。
⑤専用ホルダー内に灰が溜まれば捨てる
⑥終わったら火消を行う
詳しい使用方法は、棒灸の取扱説明書をご参照ください。目安として1日1~2回行います。
火を扱うのに抵抗があり、煙やにおいが苦手な飼い主さんには、太陽がおすすめです。
[太陽]
火を使わず、皮膚に貼るタイプのお灸です。簡単ですが、棒灸と効能に違いはありません。
①太陽の凸部分のシールをはがすと暖かくなってくる
②皮膚面のシールをはがして、犬の毛を左右に分けて貼る
毛が長くて貼りにくい場合、洋服の上から貼ることも出来ます。
効果は、3~4時間程です。皮膚面の平均温度は40~50℃低温やけどに注意しましょう。
犬にお灸を行う病気と部位について
お灸の効能が期待できる病変は幅広くありますが、犬の椎間板ヘルニアなど
主には筋肉や関節の痛みなどの症状改善に使われることが多いです。
血流や神経組織に働き、症状を改善します。
主なツボは、
1.椎間板ヘルニアなど腰、股関節、膝の痛みには「環跳」
骨盤横の突起した部位前方のくぼみ部分
痛み緩和と、腰の病気予防にも効果的な「腰百絵」。腰の真ん中と背骨が交わる部位
2.犬の肩こり、背中、首の痛みにも「肩井」
肩甲骨の前側のくぼみ部分、脇の下あたり
3.食欲不振や下痢など消化不良の症状に「脾兪」
背中に沿った縦の筋肉の盛り上がった位置
消化機能の活性化に「天枢」。おへそから左右1cm程の部分
4.咳や喘息など肺機能の活性化に「肺兪」
肩甲骨間の背骨中央部分
5.興奮しやすい犬には自律神経を整える「頭百会」
左右の耳の真ん中と頭蓋骨中央の交差部分心が安定する「神門」。前足の内側手首のあたり。
神経をなだめて落ち着く「風府」。後頭部中央のくぼみ部分
6.無気力な犬には、元気のもと「腎兪」
老化防止や腎機能改善にも効果的。背骨の両側2番目と3番目の腰椎の間部分
などなど…犬のツボはたくさんあります。
特に冬には、冷えている部位にお灸をしてあげるといいですよ。
棒灸や太陽では、効果範囲が広いため大体の位置で十分に温熱刺激がツボへ届きます!
お灸は適切に使いましょう!避けた方が良い時とは
たくさんの効能を持つお灸ですが、避けた方が良い時もあります。
①犬が興奮状態にある時
②お灸を嫌がりストレスになってしまう時
③疲労感が強い時
④発熱している時
⑤空腹時、満腹時
などは、逆効果になってしまうこともあります。
その他にも、腫瘍の近くは腫瘍に栄養を与えて大きくなってしまう恐れがあります。
傷、発赤、膿、腫れのある部位も悪化してしまいます。
ツボのある離れた部位で行いましょう!
動物病院に通院していたら、かかりつけの獣医さんに相談してくださいね。
お灸は安全で、容易に行うことが出来、人だけではなく犬にもたくさんの効能がありました。
安心出来る家で、飼い主さんが愛犬の元気で安楽な生活のためにお手伝いできるのが、
お灸の最大の魅力だと思います。ぜひ、お灸を使って愛犬の自然治癒力をサポートし
健康維持、病気の進行抑制、症状の軽減に役立ててくださいね。
愛犬と飼い主さんが、いつまでも健康で暮らせますように。