健康管理

犬に抗生物質を使う時とは?抗生剤の効果について

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抗生物質とは、病気の原因となる細菌の増殖を抑えたり死滅させたり出来る薬のことです。

細菌の数を減らして弱らせ、犬が本来持っている自然治癒力を高めることで回復を早めてくれます。

私たちにも、とても身近で不可欠な薬である抗生物質は、

犬にも様々な用途で使われています。私たちと同じように呼吸器、消化器、尿路、皮膚や関節など

全身の細菌による炎症はもちろんのこと、細菌による感染予防のために処方されることもあれば、

寄生虫であるフィラリアの幼虫が抗生物質に弱い特性を利用して

フィラリア予防薬としても処方されています。

 

また、細菌感染以外の下痢に処方されることもあります。

犬はもともと胃酸の働きが強いために傷んだものを食べても下痢をしにくいと言われています。

しかし下痢が続く時は、犬の腸内細菌のバランスが崩れている場合があります。

 

犬の腸内細菌には、

体にとって良い働きをしてくれる善玉菌(ビフィズス菌、乳酸菌)、

悪い働きをする悪玉菌(ウェルシュ菌など)、

体調が悪くなると、悪い働きをしてしまう日和見菌が住んでいて、

何らかの原因で悪玉菌が増えてしまうと腸内環境が崩れ下痢をしてしまいます。

抗生物質は腸内の悪玉菌を減らし、腸内環境を整えてくれる働きをします。

このように万能にみえる抗生物質ですが、犬に有害な作用をもたらすこともあります。

 

犬に抗生物質を与えると嘔吐!抗生物質の副作用とは

犬に有害な作用は、主に3つあります。

 

[抗生剤の主な副作用]

1.下痢

犬の腸内の善玉菌を減らしてしまい、腸内細菌のバランスを崩すと下痢になってしまいます。

泥状の便や粘液便がみられることもあります。

お腹を温め、ヨーグルトで乳酸菌を補充すると善玉菌が増えて改善がみられることもあります。

獣医さんに相談しましょう。

 

2.嘔吐、食欲不振

抗生物質が犬の体質に合わないと、せっかく飲み込めても吐いてしまいます。

ごはんもなかなか食べてくれません。

抗生物質とは関係なく、体調が悪くて吐いてしまっていることもあるので、獣医さんに相談しましょう。

 

3.アナフィラキシーショック

・興奮して落ち着きない様子

・よだれを垂らす

・皮膚の赤み、かゆみ、蕁麻疹

・顔や唇の腫れ

・嘔吐

・失禁、脱糞

・痙攣

・意識障害

いずれかの症状が急激にみられた場合、

抗生物質による重篤な全身性のアレルギー反応が疑われ迅速な処置が必要です。

早急に動物病院へ連れて行きましょう。

 

抗生物質は、細菌など犬に有害となる菌を弱めたり殺菌したりする反面、

良い菌の働きも弱めてしまったり、

体質に合わなければ拒絶反応やアレルギーを引き起こしてしまったりすることもあります。

また、2ヶ月以上の長期間の服用が必要となれば、

肝臓や腎臓の障害、貧血など血液検査で経過をみていく必要も出てきます。

 

愛犬に有害となってしまうこともある抗生物質ですが、

獣医さんに相談もなく、独断で中止しないでください。

獣医さんは、犬の体重、既往歴、現在の体調や病状を考慮して処方しています。

犬に抗生物質を与えるのを途中で辞めると、

たとえ症状が出ていなくても生き残っている細菌が復活してしまい、

病気が慢性化、重症化することもあります。

 

また、薬を飲んだり飲まなかったりしたり、長期間与えることで

抗生物質が効かない耐性菌が出現してしまうリスクとなってしまいます!

有害な症状が出てしまったら、ぜひ獣医さんに相談してください。

私の愛犬は、抗生剤の種類や形態を変更してもらうことで

吐かずに内服することが出来て、病状が軽快しましたよ!

 

注射はあるの?抗生物質の与え方

抗生物質の与え方には、内服薬として与える方法と、内服以外の方法で与える方法があります。

 

[抗生物質の内服以外の与え方]

・外用

被毛があり皮膚に届きにくいことがあります。

舐めてしまう犬が多いため、カラーや絆創膏を使用したり、内服薬で代用したりします。

 

・抗菌シャンプー

「膿皮症」などの皮膚トラブルの犬に使用するシャンプーです。シャンプーによって成分が違います。

獣医さんに相談してから使用しましょう。

 

・注射

犬の皮下に注射することが出来る抗生物質もあります。

毎日の通院が必要となるので、獣医さんに相談してみましょう。

「コンベニア」という、1回の注射で2週間も効能がある抗生物質がありますが、

高価であること、途中で抗生物質の変更が出来ないことなどから慎重な投与が必要な薬です。

 

[抗生物質の内服薬の与え方]

・ドックフードに混ぜてあげましょう

食欲のある犬なら、ドックフードに混ぜると気が付かずに食べてくれます。

缶詰型のウェットタイプのフードなら、お団子のように丸めて中に入れてしまいましょう。

とろみのあるものに混ぜても、食べやすそうですよ。

 

・犬の口の中に直接入れます

犬の上顎を掴み、犬の顔を上に向けます。もう片方の手で犬の下顎を開けて、薬を口の奥の方へ置きます。

上を向かせたまま口を閉じて、犬が薬を飲み込むのを待ちます。

喉元が「ごくん」と動いたり、口元を「ペロリ」と舐めたら成功です。口の中に薬が残っていないか確認しましょう。

薬を飲む動作がみられないときは、喉を優しくさすってあげてください。

 

・注射器を使用する

粉薬(錠剤の場合は砕く)を白湯で溶かして、注射器で吸い、口の中に入れてあげます。

内服薬を与える時は自然に飲ませてあげてください。飼い主さんがかまえてしまうと犬は敏感に感じ取ります。

果物など、普段与えている好物に混ぜてもいいですね。

はじめは、薬の入っていないものを与えてから、自然に薬入りのものを与えてみましょう。

 

抗生物質は諸刃の剣!

病気の回復を助ける作用をもたらしてくれて身近にある抗生物質。

しかし、ときに有害な作用を及ぼす怖い薬でもありました。

犬に抗生物質を与えた時は、病状の変化や副作用がないかなど、よく観察してください。

特定の抗生物質が合わない体質の犬もいるので、どの抗生物質が合わないのか覚えておいて、

再度抗生物質が必要となった時に、獣医さんに伝えて避けてもらいましょう。

 

獣医さんと飼い主さんが協力して抗生物質と上手に付き合い、愛犬の健康を守っていきたいですね。

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