これってしこり?
愛犬を触った時にしこりを発見したら、焦らず様子をよく見てください。
痛みを感じていたり、触られるのを嫌がったり仕草をしない場合は、腫瘍(ガン)の可能性があります。
特に気を付けるのは、あごや乳腺、わきの下、足の付け根などに
しこりがあった場合は注意が必要です。直ぐに病院へ連れて行きましょう。
そのしこり悪性?良性?違いとは
一般的に良性と言われるしこりは、触ると柔らかく、皮膚の表面で動くという特徴があります。
しこりが急速に大きくなったり、熱を持っていてただれている、出血しているなどの時は悪性の可能性が高くなります。
しかし、私たち素人が見た目や触った感触から良性か悪性かを判断することは、
非常に難しく危険です。
しこりを発見した場合には、早急に病院へ連れて行きましょう。
考えられる病気は?
体質的に犬はイボやしこりなどができやすく、体中どこにでもできます。
良性のしこりであれば放置していても問題ありませんが、中には悪性のものもあります。
では悪性のしこりができる病気には何があるのでしょうか。
皮膚の腫瘍
皮膚の腫瘍は犬によくみられる病気です。
見た目では、悪性なのか良性なのか判断することができません。
また、症状によっては皮膚病と間違えることもあるので、飼い主さんの自己判断は絶対にやめましょう。
皮膚の腫瘍には、触るとコリコリしたものや表面がただれていたり、こぶのようなものができたりすることもあります。
発見した時は被毛をかき分けて細部まで確認してください。
皮膚の腫瘍には次のようなものがあります。
・肥満細胞腫(悪性)
免疫にかかわる肥満細胞という細胞が腫瘍化したものです。
転移しやすく非常に危険な悪性の腫瘍になります。しかし良性の場合もあります。
肥満細胞腫の多くは、赤く腫れたようなしこりとしてあらわれます。
その他にも、表面の皮膚組織が壊死していたり筋肉の塊のように見えるなど、
病巣の形状は様々です。
犬種の中でも、ボクサー、ボストン、テリア、イングリッシュ・セターなどに多くみられます。
・扁平上皮ガン(悪性)
悪性の腫瘍であり、鼻の先端や爪の根元、口唇など、色素沈着のある部位に良くみられます。
扁平上皮ガンは発生した場所により症状が違います。
かたいできものやカリフラワー状に盛り上がったものなど、また、しこりができない場合もあります。
皮膚がただれたり、潰瘍ができてしまうと、治りにくい皮膚病と間違えることもあります。
口唇にできた場合には出血しやすい特徴があり、犬がくわえていたおもちゃなどに血液が
ついているのを見て、飼い主さんが異常を発見する場合もあります。
また、よだれが出るようになったり、口臭がきつくなります。肺に転移する場合もあります。
・悪性黒色腫(悪性)
名前の通り、黒いしこりとなってあらわれます。
口腔の粘膜や舌に、黒いかたまりを見つけた場合は要注意です。
黒色腫は皮膚ガンの一種です。
全身の皮膚にできる良性の黒色腫もありますが、口腔内にできる場合は悪性度が高くなります。
しこりが急激に大きくなり、リンパ節や肺に転移が見られます。
・乳腺腫瘍(悪性)
乳腺腫瘍はオスにできることもありますが、メスの場合は
5歳以上になったら特に注意しましょう。
通常、乳房は左右に5対あり、乳首を中心とした乳房にしこりができます。
多くの場合、しこりは複数でき、触ったりつまんだりしても痛むような反応はしません。
しこりを見たり触ったりしただけでは、良性なのか悪性なのかは判断できません。
しかし、悪性の場合はしこりが急激に大きくなります。
悪性の場合は、しこりを中心として健康な部分も含めて大きく切除しなくてはなりません。
ただ、高齢などで手術ができない場合や、広範囲に広がっている場合は薬物療法や放射線療法などで治療していきます。
1歳未満で避妊手術をしておくと、乳腺腫瘍にかかるリスクを軽減できます。
・悪性リンパ腫(悪性)
特に中高齢の犬がかかりやすい病気です。
血液中の白血球のうち、リンパ球と呼ばれる細胞が異常増殖します。
食欲が低下してしまい、元気がなくなるといった全身症状の他に、
顎や足の付け根などのリンパ節の腫れが多くみられます。
胸部のリンパ節が腫れると、せき症状、腸や腹腔のリンパ節が腫れると下痢や嘔吐などの
症状もあらわれます。放っておくと、数か月で死に至る非常に危険なガンです。
早期に発見できれば、抗がん剤で治療が可能です。
・白血病(悪性)
血液中の白血球が異常に増殖してしまう、犬にはまれな病気です。
症状は悪性リンパ腫と同じく、元気がなくなる、食欲の低下などのほかに、
貧血もみられることがあります。
しこりを発見したら…
犬は全身どこにでもしこりができる可能性があります。
もし、しこりを発見したら直ぐに病院に連れて行き、検査をしてもらいましょう。
しこりを早期発見できるのは飼い主さんだけです。
日頃から撫でたり、マッサージしてあげるなどのスキンシップの中で意識して探してあげてください。
悪性だった場合でも、早期発見できれば受けられる治療も変わってきます。
日々のボディチェックを欠かさずにして、愛犬の健康を守ってあげましょう。