毎日当たり前のように飲んでいる水。
そもそも犬が1日に必要な水分摂取量を知っていますか?
もし、愛犬が水を大量に飲んでいる場合は病気かも…?
今回は犬に必要な水分量や病気についてまとめました。
犬に必要な水の量とは
私たち人間と同じく犬の体の60%~70%程度は、水分で占められています。
そのため、水は必要不可欠な存在なのです。
犬の健康状態や食事、運動量や気候などによって水分量は変わってきます。
では、犬に必要な1日の水分量とは一体どの位なのでしょうか。
・小型犬5kg未満の場合 :150ml~500ml程度
・中型犬15kg未満の場合:500ml~1000ml程度
・大型犬30kg未満の場合:1000ml~1500ml程度
上記が平均的な水分摂取量になります。
水の量が増える原因
・脱水によるもの
犬は暑くなると自分で体温を下げるために、パンディング(ハァハァという呼吸)をします。
これは呼吸をしながら水分を蒸発させることで、体温を下げています。
パンディング中は体の水分がどんどん減っていくので、水分量を保持するために、
水を飲む量が増えます。
基本的に冬よりも夏の方が飲むみずの量は増えます。また、お散歩時間が長いときも水を飲む量が多くなる傾向があります。
・ドッグフードの変化
水分量の多く含まれているウェットフードからドライフードに変えると、
飲む水の量が増えることもあります。
また、塩分の多い食事をしていると水をたくさん飲むようになります。
・精神的
犬は緊張やストレスなど、精神的な影響から水を飲むことがあります。
ひとりでお留守番する時間が長くなったり、家のまわりで工事が始まったりなど、
それまでの環境に変化がある場合は精神的な影響が原因なことも。
・薬によるもの
薬の中には尿の回数や量が増えるものがあります。
例えば、皮膚のかゆみ止めなどの使用するステロイド剤や心不全の治療に用いる利尿剤です。
尿の回数が増えることによって水を飲む量も増えます。
犬は自分で水分量の調節ができます。
そのため、いつもより多く水を飲んでいる時は、何らかの理由により、
摂取量が自分で調節できないほどに、体が水を欲しているということです。
疑う病気は?
運動後でもないのに、過剰に水を飲む場合は病気の可能性があります。
どのような病気が考えられるでしょうか。
糖尿病
糖尿病とは、インスリンの分泌量が減少したり、インスリンの働きが低下したりすることにより、
糖を上手く吸収できなくなり、血液中の糖分が異常に高くなる病気です。
特に、高齢の犬やメス犬に発症しやすいと言われています。
・症状
糖尿病になると、大量に水を飲むようになり、尿の量や回数が増えます。
尿を出すことで体内のタンパク質が減り、犬はそれを食事で補おうとするため、
食欲が増します。
しかし、インスリン不足で栄養を十分に吸収できないため、かえって痩せていきます。
進行すると、血液中のケトン体という有害な物質が増えます。
これを糖尿病性ケトアシドーシスといいます。下痢や嘔吐がみられ、重症の場合は
昏睡状態に陥ることもあります。
・原因
血液中の糖分を吸収するのに欠かせない働きをする、インスリンの分泌が不足することで引き起こります。
先天的な要因が多く、肥満や感染症、妊娠、ストレスなど、複数の要因が加わって発症
するとされています。
・治療
インスリンが不足しているので、飼い主が毎日インスリンを注射をして補います。
同時に、理想体重に見合ったエネルギー量の食事を決まった時間に与えたり、
適度な運動を行います。
また、低血糖に対する注意も大切です。
腎不全
何らかの原因によって腎臓の機能が低下し、体内の老廃物の排泄や水分、
電解質バランスの調節などに異常がみられる状態のことを言います。
腎不全は、急性腎不全と慢性腎不全に分けられ、それぞれ違う症状があらわれます。
・症状
急性腎不全の場合は、嘔吐や下痢、脱水症状などを引き起こします。
また進行すると尿毒症になり、痙攣を引き起こしたり昏睡状態に陥ったりします。
慢性腎不全の場合は、腎機能が徐々に低下していくのでほぼ無症状です。
一般的に、食欲の低下、多飲多尿、体重の減少がみられます。
最終的に尿毒症になって、はじめて気づく場合もあります。
・原因
急性腎不全の場合は、
急性腎炎やネフローゼ症候群などの腎臓自体の病気により、急速に機能が低下します。
また、尿管結石で尿が出なくなることも原因とされます。
慢性腎不全の場合は、慢性腎炎や水腎症などの慢性的な腎臓病により、
徐々にネフロンが壊されていくことが原因とされています。
・治療
慢性腎不全の治療法は、食事療法が中心です。
腎臓に負担のかかるタンパク質をおさえ、栄養バランスのとれた食事を与えます。
また必要ならば、輸液を行い体内のミネラルバランスを整えます。
膀胱炎
細菌感染や真菌感染、寄生虫、腫瘍などによって膀胱に炎症が起きる病気です。
犬の泌尿器系疾患の中でも最もよくみられます。
・症状
膀胱炎になると、頻繁にトイレに行きますが尿が少ししか出ません。また、排尿のときに痛み
があるため大声で鳴くこともあります。
その他にも食欲の低下や発熱、
尿の色が濃くなったり、濁りがあったり、血液が混じることも。
・原因
主に大腸菌などの細菌が尿道から侵入し、膀胱に感染することが多くみられます。
感染症以外にも、膀胱結石や腫瘍、外傷などが原因となる場合も。
・治療
細菌感染の場合は、抗生物質を投与します。しかし、抗生物質を投与しても細菌が尿路の
中で生き続けることもあります。
膀胱炎は、再発や慢性化しやすいため、根気よく治療を続けましょう。
結石や腫瘍が原因の場合は、手術で切除します。
子宮蓄膿症
子宮に膿が溜まる病気です。高齢のメス犬によくみられます。
・症状
初期症状はほぼなく、進行すると水を飲む量が増え、尿の回数も増えます。
子宮に膿が溜まるので、お腹が腫れたようにも見えます。
また、便秘や嘔吐、外陰部が腫れ臭いの強い膿がでることもあります。
・原因
子宮に細菌が感染してしまい膿がたまります。
感染当初は、子宮内膜炎だったのが慢性化して、子宮蓄膿症を引き起こします。
・治療
子宮蓄膿症と診断された場合は、早期に手術を行い子宮を摘出します。
放置しておくと膿が腹腔内に流れ出てしまい、腹膜炎を引き起こし、死に至ることもあります。
また、繁殖を希望している場合は、抗生物質や子宮の収縮を促すホルモン剤を投与して、
溜まった膿を排出させます。
副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)
クッシング症候群とも呼ばれています。
副腎から分泌される、炎症を抑える働きをするホルモン(糖質コルチコイド)が過剰に
分泌される病気です。
プードルやビーグル、ダックスフンドなどの犬種によくみられます。
・症状
多飲多尿になり、お腹が膨れます。皮膚に弾力がなくなる、被毛が薄くなり、
乾燥がみられます。
また、背中に左右対称の脱毛があらわれます。
・原因
下垂体の過形成や腫瘍、副腎自体の腫瘍によって、
副腎皮質ホルモンが過剰に分泌されることによって起こります。
また他の病気の治療で、ステロイド系抗炎症薬を長期間使用した場合にもみられることがあります。
・治療
腫瘍が原因の場合は投薬や手術を行います。
ステロイド系抗炎症薬が原因の場合は、使用料を少しずつ減らしていきます。
いかがでしたでしょうか。
愛犬の水を飲む量があきらかに増え、尿の回数も増えている場合は、上記の病気が疑われます。
日頃から愛犬の様子をよく観察するようにしましょう。
少しでも気になることがあればすぐに病院へ連れて行きましょう。