災害時にかかわらず、突然犬が迷子になったり事故に遭ったりすることも
あるかもしれません。
あまり考えたくない事態ではありますが、いざという時に役に立つのが、
犬の身分証明にもなるマイクロチップです。
15桁の数字(番号)が記録された電子タグを皮下に埋め込み、
この番号を専用のリーダーで読み込むことにより、
飼い主や犬の情報がわかる仕組みです。
一度犬の体内に埋め込むと、抜け落ちたり消失することがないため、
最後の命綱とも呼ばれており
少しずつペットと暮らす飼い主の中で浸透していっています。
日本での義務化はまだ進んでいませんが
東日本大震災以降に認知が高まり、現在100万頭を超える犬が
装着しているといわれています。
マイクロチップの装着方法とは
マイクロチップの大きさは、直径2ミリ、長さは約8~12ミリ。
カプセル状のチップを専用の注射器を使って埋め込みます。
犬や猫の場合は、背側頸部(首の後ろ)の皮下に打つのが一般的です。
埋め込みができるのは生後2週ごろから、
一般的な注射の針に比べたら太いので、痛みが伴いますが
麻酔薬などを使用しない場合がほとんどなので
一時的ではありますが愛犬は痛みを感じる場合がほとんどです。
動物病院で装着後、飼い主が申込書に情報を記入し、データを登録します。
登録完了のはがきが届くまでに長いと3週間ほどかかります。
引っ越しなどで住所が変わった際には、すみやかに変更手続きを行ってください。
埋め込みにかかる費用は?
マイクロチップ装着には、数千円程度、登録料として1000円かかり、
5000円前後だと考えておくとよいでしょう。
最近では助成金が出る市区町村もあるので、確認してみてください。
読み取りリーダーは動物病院や動物愛護センターなどにありますが
災害時はすぐに情報検索ができないので
迷子札との兼用がおすすめです。
飼い主さんの中には、犬の体内に異物を埋め込むなんて
ちょっと心配…という方もいらっしゃるのではないでしょうか?
日本で扱われているペット用のマイクロチップは
ほとんどがISOに準拠しており、読み取りに関する規格は統一されているほか
マイクロチップは生体適合ガラスで覆われているため
注入による副作用の心配はほとんどないとされているので、安心して大丈夫です。
マイクロチップは義務ではない
地震大国日本に住む私たちは
いつ大きな地震に襲われるかわかりません。
飼い主さんが非常の事態を想定して
日頃から防災意識を高めておくことを求められています。
マイクロチップの装着に関しては、万が一はぐれてしまった時など
役に立つことはもちろんですが、法律で定められているわけではありません。
中には「犬の体に物を埋め込むなんてかわいそう」
「マイクロチップ自体が信用できない」という声が
多数挙がっているのも事実です。
考え方はそれぞれですし
やる、やらないは飼い主さん次第です。
デメリットも知っておこう
愛犬が迷子になってしまった場合、役に立つマイクロチップですが、
デメリットもいくつかあるので、そのあたりもしっかり把握しておきましょう。
痛みを伴う
先ほども挙げたように
一時的ではありますが、愛犬は痛みを伴います。
病院慣れしていない犬はとても怖がったりしてしまうこともあるので
不安な時は一度病院で痛みについて相談してみるとよいでしょう。
費用の変動もあり得る
麻酔を使わずマイクロチップを埋め込むのが一般的ではありますが、
痛みに備えて麻酔を使用したいという場合は、麻酔料金がプラスされますので
費用に大きく差が出ます。
電波がキャッチできない場合がある
マイクロチップを埋め込んだ場所によっては
情報がうまく読み取れないことがあるということです。
電波をキャッチしにくい皮膚の奥に埋め込むことのないよう
埋め込む時には十分に注意を払ってもらいましょう。
アレルギー反応を起こす可能性がゼロではない
マイクロチップを埋め込むにあたって一番心配なのは
やはり愛犬の健康への影響でしょう。
日本においてのマイクロチップでの副作用の報告は今の時点ではゼロです。
しかし、海外では何件かアレルギー反応の報告が出ているので
絶対にない、とは言い切れないので頭の片隅には入れておきましょう。
大事な愛犬のために
突然、愛犬とはぐれるようなことがあれば、当然飼い主さんもパニックに
陥ってしまうでしょう。
それが災害であれ、迷子であれ、離れてしまうこと自体がつらく悲しいことです。
マイクロチップ装着に関しては
もしものための備えの一つと考えてもらえればいいと思います。
技術の進歩によって、これまで考えられなかったようなことが
可能になり、それが当たり前になっていく時代がくるでしょう。
しかし、愛犬に怖い思いをさせてまでマイクロチップを埋め込みたくないという
飼い主さんもたくさんいます。
実は私もちょっと抵抗があります…。
(うちの愛犬はマイクロチップを埋め込んでいません)
マイクロチップに関しては義務ではないので
家族皆で話し合って、最善の対策を見つけてくださいね。