今回は、ジャパン・ケネルクラブの犬種グループ分け、
第9グループ「愛玩犬」についてお伝えします。
愛玩犬とは?
犬の犬種は数多く、ジャパン・ケネルクラブ(JKC)では約200犬種を10のグループに分けて登録しています。
そのグループの1つに「愛玩犬」があります。
愛玩犬の特徴は、小さくて、丸々しく、見た目がとても可愛らしいことです。
人間は元々犬を労働に利用する目的で飼い始めました。牧羊犬や狩猟犬などが挙げられます。
しかし愛玩犬には労働に対する利用目的ではなく、コンパニオン・シップという人間の感情の
ニーズを満たす大事な役割を果たしてきました。
人間にひたすら可愛がられること、撫でられることを仕事として、
体のサイズは小さく、性格は朗らかな犬として作られました。
小型愛玩犬は、「膝犬」や「抱き犬」とも呼ばれています。
愛玩犬の歴史
愛玩犬の歴史は古く、遥か紀元前に遡り、エジプトの王ラムセス2世が小型犬と
一緒に葬られていたことが記録として残されているほどです。
近代以前に愛玩犬を持てる時間と金銭的余裕があったのは階級のある人々であり、
愛玩犬は洋の東西を問わず貴族や皇帝のペットして進化してきました。
古代ギリシャでは、マルチーズの祖先が愛玩犬として上流階級の社会に定着し、
16世紀のヨーロッパでは、貴婦人の間で流行しているほどでした。
愛玩犬となった小型犬たちは他の犬と区別され、外で飼われたり雨風にさらされることもなく、
それどころかベッドの中で一緒に寝ていました。
時にはぬいぐるみや湯たんぽ代わりとして、人間の可愛がりたいという欲に応えてきました。
現代の私たちは犬に何か特別な仕事を求めてはいません。
貴族たちと同じように、純粋に愛情の対象として犬を飼う方が多いと思います。
また、見た目の可愛さや性格、現代の住宅環境に適応できる小さいサイズということも愛玩犬を家庭犬として選ばれる人気のひとつです。
愛玩犬の特徴
愛玩犬の特徴はなんと言っても、大きくクリクリした目に丸い平坦な顔。
ふわふわしていたりコロコロしていたり、短い四肢を一生懸命に動かすしぐさなどが可愛らしいと言われる特徴だと思います。
また、成犬になっても子犬のような愛らしい姿や行動はまるで子犬のようです。
そんな愛玩犬は昔から私たち人間の生活に潤いや癒しを与える存在となっています。
サイズも小さいので飼いやすい犬種が多く人気の犬種が揃っています。
愛玩犬は他の犬種と比べ、問題犬として飼い主を悩ませることが少ないと言われています。
それは彼らの愛玩犬としての長い歴史の中で培われた、人間のペースに合わせられる、
「順応力の高さ」や「高い社会性」そして「落ち着いた気質」によるものです。
例えば、羊追いとしての役割がある牧羊犬などには、仕事をするのに必要な高いテンションが
生まれつき備わっています。しかしこの部分を使わせてもらえなけらば何らかの形でエネルギーを
発散させようとします。これが人間にとって望ましくない行動であったりもするのです。
しかし、愛玩犬には元々そのようなテンションは持っていないし、必要ありません。
特別な仕事をさせなくても、私たちが撫でたり可愛がったりして愛情を注ぐことで幸せに暮らせるのです。
愛玩犬が嫌われる理由
小さく丸々しい見た目から、愛されている愛玩犬ですが、中には嫌いという方もいるようですね。
それはなぜなのでしょうか。
・よく吠える
小型犬はよく吠えると言われます。これは本当であり、愛玩犬たちも吠えやすい傾向にあります。
しかしこれは体が小さく、自分自身を守るための行動の現れとされていますが、
飼い主さんのしつけや飼育の方法で無駄吠えを少なくすることも可能です。
周囲の迷惑になるような無駄吠えは飼い主の責任ともいえますね。
・きちんとしつけがされていない
愛玩犬のような小型犬はしつけがされていないことも少なくありません。
それは、「しつけ」と聞くと犬を服従させて言うことを聞かせるというイメージを持つ方もいると思います。
そのため、小型犬の見た目からかわいそうと感じてしまう飼い主さんもいるそうです。
街中でもリードを付けずに抱きかかえている飼い主さんをみたことがあります。
さらには人や他の犬に吠えかかっても優しく「だめよー」と言うだけで終わってしまう場合があります。
きちんとしつけをしてマナーを守らせるのは飼い主さんの最低限の義務と言えます。
愛玩犬を飼ったら
小型犬は飼いやすいというイメージが強いことから、愛玩犬がペットとして選ばれる理由のひとつと言えます。
しかし、小さくても犬は犬です。
犬にとってより良い生活を心がけましょう。
・散歩をさせる
よくペットショップなどでも愛玩犬を勧める際に、
「お散歩の必要がありません」や「トイレはゲージの中で済みます」などの店員のセールストークを鵜呑みにしてはいけません。
それは間違っています。
どんなに小さくても犬は外に連れ出して散歩をさせる必要があります。
散歩は運動や犬の好奇心を育てるという面でもとても大切です。
そのためゲージや家の中に閉じ込めておくことは犬にとってはストレスになります。
・可愛くてもぬいぐるみではない
愛玩犬を飼っている人の中には、首輪もリードも付けずに抱きかかえている姿をよく目にします。
犬の安全のためにも外出するときはリードを必ず付けるようにしましょう。
また、真夏の暑い日のお祭りや花火大会などの人混みの中、犬に浴衣を着せて連れまわしている愛玩犬を見たことがあります。
沢山の人に可愛い愛犬を見てもらいたいという気持ちは分かりますが、犬の安全面や健康面を考えるとやめたほうがいいでしょう。
犬の気持ちや安全面を第一に考えるようにしましょう。
今回は愛玩犬について書きました。
愛らしい見た目から、日本でも人気の高い愛玩犬。
しかし、「愛玩犬」と呼ばれているため生き物という感覚を忘れて、
ぬいぐるみやファッション感覚で犬の習性を理解せずに飼っている飼い主さんもいます。
「犬は犬」ということを忘れずに、正しく可愛がって幸せな生活を送らせてあげましょう。
次回は愛玩犬の犬種についてお伝えしていきます。